3Dプリンターを駆使したソフトアクチュエータモジュール

容易な再構成と多様な変形性を併せ持つ真空駆動型ソフトアクチュエータモジュール「MORI-A」

ソフトマシンの技術概要
ソフトアクチュエータは柔らかくも強い引っ張り力を提供する重要なロボットパーツです。しかし、手軽に購入できるソフトアクチュエータはそれほど多くなく、形状も定まっており、望んだモノの駆動系としてすんなりと導入できる機会は少ない。この技術は24mmの立方体の中に変形要素を埋め込み、中の空気を抜くことで駆動するアクチュエータです。このアクチュエータは3Dプリントで作られた専用のコネクターで接続することで、どんな形態にでも組み立てることができます。電気的な配線は一切必要としません。変形した後の形状を想像し、あとは繋ぎ合わせていくだけです。知的玩具としても、手軽に導入できるソフトアクチュエータとしても、拡大することで動く建材としても、多様な場面で応用することが期待できます。
この技術は特願2021-14557『ロボット構成モジュール、ロボット部品』として、出願された技術です。小中学生向けの研究ワークショップ『ひらめき☆ときめきサイエンス』の教材や各種メディアなどでも取り上げられ、注目されています。
ソフトマシン『MORI-A』の特徴


変形を決定する井桁構造
MORI-Aの最大の特徴は立方体の中空シリコーンを減圧したときに現れる変形です。この変形は熱可塑性ポリウレタンを積層し、造形できる特殊な井桁構造が生み出しています。この井桁構造はパラメトリックデザインで変数化されており、一軸収縮や屈曲、せん断、均一収縮などの動作を生み出すように定義されています。単一のモジュールがとりうる変形パターンはざっくり分けると前述の4パターンと無変形の5種類です。24mmの立方体に一つだけ組み込めるので、連結させることで、多様な変形モーションをすぐに生み出すことができます。内部の構造体は熱可塑性ポリウレタンなので、指で小さく押しつぶすことで中から取り出せ、別の構造体に差し替えることもできます。
真空駆動モジュール
一般的なアクチュエータは加圧によりゴムチューブなどの内部に空気を送り込み、強化繊維などで膨張を制限することで強靭なアクチュエータとして機能しているものが多いです。一方でMORI-Aアクチュエータは、内部の空気を『抜く』ことで機能するアクチュエータです。この性質をうまく使うと、減圧で駆動する方向とは真逆の連結部を少しだけ強く拘束することで、加圧時には逆方向に駆動する魚のような周期運動を実現できます。なお、コネクターは空気を通すものと通さないものがあり、空気パスを意図的に制限することなども可能です。しかし、重力に逆らう運動は少し苦手としています。
BOM
作業時間
3時間程度
材料
EcoflexTM00-30(中空シリコーン)
クリアレジン(コネクター)
アクリル板(シリコーン用の型)
ポリビニルアルコール樹脂(PVA、井桁構造のための水溶性中子)
装置
エアコンプレッサー(AIRREX FX9731)
シリコーンチューブ(内径2mm、外径4mm)
Arduino(ソレノイドバルブ制御用)
電磁弁(コガネイ 030E1-2-PSL DC24V)
I/Oソリッドリレー(G3R-I/O)
真空発生器(VUH07-66J)
チューブフィッティングストレート(PC6-02)
電源ユニット(PBA15F-24-N)
期待できる「やわらか」サービス
やわらか知的玩具
変形を予想して組み立てる就学中の小児向け玩具として。
やわらかアクチュエータ
多様な場面に展開できる再構成可能なアクチュエータユニットとして期待できる。
やわらか建材
動く建築物を作り上げるための未来の建材として。