形状記憶するやわらかゲルソール


3Dプリンターを駆使した形状記憶ゲルの構造化

ソフトマシンの技術概要
形状記憶するやわらかゲルソールは、文字どおり、足裏のかたちを記憶しつつも柔らかい感触をもつソールのこと。個人の足の裏をスキャンし、完全にフィットする曲面(凹凸)をLCD光造形方式の3Dプリンターで形状記憶するゲルとして印刷する技術です。これまでの形状記憶ゲルの3Dプリンティングは、プリンターの造形サイズを超える造形物、コントロールされた柔らかさをもつ構造が出力されてこなかった。この技術は造形プロセスの課題、ゲル調合の課題の両者を解決することで、形状記憶ゲルが現代人があたりまえに使うソールも実現できる可能性を示唆します。

このモデルは30.0cm台のミッドソールを想定したケースで、やわらか3D共創コンソーシアムのソフトマシン部会で議論し、ソフトマシン開発コアメンバーにより制作されました。使うときは柔らかくフィットさせることで快適に使用でき、履き心地を変えたいときは電子レンジなどで手軽に再変形でき、廃棄するときは小さくコンパクトに畳むことができます。


ソフトマシン『形状記憶するやわらかゲルソール』の特徴

構造の違う2層のゲル
ある程度の力を加えたとき、造形直後の形を維持できる硬度に達していないと、形状記憶ゲルの特徴である形状記憶製は失われます。形状記憶性を発揮するには、前述の要求を満たす硬度になるよう調整された試薬の組成を調整しなければなりません。一方で調整が完了すると、印刷される形状記憶ゲルは硬く、温度を上げない限り、柔らかさは逆に失われている状態になります。「形状記憶性」と「柔軟性」、両者を同時に満たすには、形状記憶ゲルが薄くし、柔らかくなるような構造と、厚くし、硬くなる構造が必要です。このモデルは剛柔切替できる二層構造(2mm多孔層<上>と平板層<下>)を一体化造形することで実現。

ゲルの3Dプリンティングの暗黙知継承
そもそも3Dゲルプリンティングに長年の熟練者は存在しません。形状記憶ゲルは造形中の恒温維持と、造形物のステージからの剥離に工夫が必要です。このモデルは、3Dプリンター用ヒーターで造形中も温めつつ、PETフィルムをステージに貼り付け、そのフィルム上に造形することで造形のプロセスの課題をクリアしています。

ゲルの分割造形
一般的なLCDプリンターの造形サイズでは、成人の足サイズのゲルオブジェクトを一回で造形することはできません。このモデルは形状記憶ゲルを4分割し、分割面にゲル溶液を再塗布し、UV再硬化することで繋ぎ合わせます。


BOM

作業時間

3日~1週間程度

試薬(形状記憶ゲル調製用)
N,N-ジメチルアクリルアミド
アクリル酸オクタデシル
ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)
オスフィンオキシド
N,N’-メチレンビス(アクリルアミド)
AS150

装置
Phrozen Shuffle (LCD方式3Dプリンター)


期待できる「やわらか」サービス

やわらかアウトドア
パーソナライズされた柔らかいクッションベルト。

やわらかボディケア
温泉の岩盤に張り付く形状記憶する柔らかいマット。

やわらか電子部品・建材
加熱することで回収しやすい形態に加工可能。
電極配置用の形状記憶サポーター(加熱による変形・タック性の発現を応用)

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